潜水士 問題集
潜水士免許試験(実施: 公益財団法人 安全衛生技術試験協会)
潜水士免許試験の問題集です。潜水業務、送気・潜降及び浮上、高気圧障害、関係法令の4科目を、圧力や送気量の計算問題を含めて演習できます。
Cカードを何枚持っていても、報酬を受けて水に入った瞬間から、適用される法律が変わります。 潜水士免許は、その切り替わりの先で求められる国家資格です。 ダイビング指導団体が発行する認定証とは、根拠になる法令も、発行する主体も、 持っていなかったときに問われる責任も別のところにあります。 まずはその境界がどこに引かれているのかを見ていきます。
どこから先が「業務」になるのか
潜水士免許を必要とする範囲は、労働安全衛生法の就業制限のしくみで決められています。 同法施行令が挙げる業務のひとつが 「潜水器を用い、かつ、空気圧縮機若しくは手押しポンプによる送気又はボンベからの給気を受けて、 水中において行う業務」です。そして高気圧作業安全衛生規則は、事業者に対し、 潜水士免許を受けた者でなければこの潜水業務につかせてはならない、と定めています。
読み取るべき条件は二つあります。ひとつは潜水器を用いること、 もうひとつは送気または給気を受けること。 この二つが揃った水中作業が対象です。素潜りのように潜水器を使わない作業は、 この定義から外れます。逆にいえば、レジャーで使うのと同じ器材であっても、 仕事として潜る限りは免許の対象になります。
試験の入口と、免許の出口
受験の側にはほとんど条件がありません。学歴も、実務経験も、潜った経験すらも問われず、 本人確認証明書を添えて申し込めば誰でも受けられます。 水に入る実技試験もなく、学科だけで完結します。
条件が置かれているのは免許を受け取る側です。高気圧作業安全衛生規則は、 潜水士免許の欠格事由として満18歳未満であることを挙げています。 高校生のうちに合格しておくことはできますが、免許証は18歳を迎えてからの申請になります。 交付するのは都道府県労働局長です。
| 受験資格 | 不要。学歴・実務経験・年齢を問わない(本人確認証明書の添付は必要) |
|---|---|
| 免許の交付 | 満18歳以上であること。都道府県労働局長が交付 |
| 実技試験 | なし。学科試験のみ |
| 試験手数料 | 8,800円(非課税) |
4時間で40問、満点は100点
| 潜水業務 | 10問・30点 |
|---|---|
| 送気、潜降及び浮上 | 10問・25点 |
| 高気圧障害 | 10問・25点 |
| 関係法令 | 10問・20点 |
| 試験時間 | 12時30分から16時30分までの4時間(免除科目なし) |
| 合格の条件 | 各科目で40パーセント以上を取り、かつ合計で60パーセント以上 |
気づいてほしいのは、40問すべてが同じ重さではないことです。 出題数は各科目10問で揃っているのに、配点は30点から20点まで開きがあります。 1問あたりに直すと、潜水業務は3点、関係法令は2点。 得点効率だけを考えれば前半の科目が重いのですが、 各科目40パーセントという条件がある以上、配点の軽い関係法令を捨てることはできません。 得点源を伸ばす発想より、4科目のいちばん低いところを底上げする発想のほうが合格に近づきます。
つまずくのは、たいてい物理のところ
この試験の性格を決めているのは計算問題です。数はさほど多くありませんが、 日常の感覚が通用しない量を扱うため、独学だとここで止まる人が出ます。 最初の関門が圧力の読み替えで、圧力計が示すゲージ圧に大気圧を足したものが絶対圧になります。 水深はおよそ10メートルごとに0.1メガパスカルずつ加わるので、 水深30メートルなら絶対圧は0.4メガパスカル前後という感覚を先に体に入れておくと、 後続の計算がすべて速くなります。
- 気体の体積と圧力の関係(ボイルの法則)。浮上に伴って肺やボンベ内の気体がどう膨らむかを、絶対圧の比で追う
- 温度が絡む変化(シャルルの法則)。ボンベを日なたに置いたときの圧力上昇のような設問で出る
- 送気量。空気圧縮機や手押ポンプで送気するときは水深の圧力下で毎分60リットル以上、圧力調整器を使わせる場合は毎分40リットル以上で、送気圧はその水深の圧力に0.7メガパスカルを加えた値以上
- 予備空気槽の圧力。常時、最高の潜水深度における圧力の1.5倍以上が求められる
- 過飽和比。体内に溶け込んだ窒素の圧力と、浮上先の絶対圧との比で減圧の安全側を測る考え方
数式そのものは中学から高校のはじめで習う範囲です。 手が動かないのは公式を知らないからではなく、 ゲージ圧のまま比を取ってしまう、単位をメガパスカルと気圧で混ぜてしまう、といった処理のずれが原因であることがほとんどです。 同じ形の問題を、絶対圧に直す一手目だけ声に出して繰り返すと、事故が減ります。
高気圧障害は、原因になる気体で仕分ける
出題の芯にあるのが高気圧障害です。症状名を丸暗記すると似た名前どうしで混ざるので、 何が体に起きているのかで束ねると崩れにくくなります。 窒素が高い分圧で麻酔のように働けば窒素酔い、 溶け込んだ窒素が浮上時に気泡になれば減圧症。 酸素も分圧が上がりすぎれば中枢神経や肺に害を及ぼします。 炭酸ガスが抜けなければ炭酸ガス中毒、送気の質が落ちれば酸素欠乏や一酸化炭素の問題になります。
気体とは別に、圧力の変化そのものが体を壊す経路もあります。 耳や副鼻腔、面マスク内の空間で起きる圧外傷、 息を止めたまま浮上したときの肺の過膨張と空気塞栓症がこれにあたります。 加圧で起きるのか、減圧で起きるのか、どの気体が主役なのか。 この三つの軸で表を作ってしまえば、40問中の10問がまとめて安定します。
関係法令は、現場の手順書として読む
配点は最も軽い20点ですが、覚える対象がはっきりしているぶん取りこぼしが惜しい科目です。 高気圧作業安全衛生規則には、潜降と浮上に使うさがり綱に3メートルごとの水深表示を付けること、 送気して行う潜水業務では潜水業務従事者2人以下ごとに連絡員を1人置くこと、 潜水作業者には信号索・水中時計・水深計・鋭利な刃物を携行させることといった規定が並びます。 高気圧業務に常時従事する労働者への健康診断は、雇入れ時と配置替え時、 そしてその後は6か月以内ごとに1回です。
こうした数字は、条文の順に暗記するより、潜水の一日の流れに沿って並べ替えたほうが定着します。 潜る前に何を点検し、誰を配置し、何を持たせ、どんな綱を垂らすのか。 その順で覚えたものは、法令の設問だけでなく送気や浮上の科目でも効いてきます。
合格率7割台という数字の読み方
協会の統計によれば、令和7年度は6,891人が受験して5,126人が合格し、 合格率は74.4パーセントでした。前年の令和6年度は6,830人の受験に対して合格が4,964人、72.7パーセントです。 国家試験としては通りやすい部類に入りますが、 受験者の多くが業務でこれから潜る人、あるいは既に潜っている人であり、 動機がはっきりしている層が母数を占めていることは差し引いて見る必要があります。 合格率は年度ごとに動くため、最新の数値は協会の統計で確認してください。
潜水士試験対策としてできること
本サイトは非公式の学習支援コンテンツです。掲載している問題はすべて独自に作成したオリジナル問題であり、公式の過去問を転載したものではありません。公益財団法人 安全衛生技術試験協会をはじめ、試験の実施団体とは関係ありません。
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